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セカンダリーで差別化
欧州最大のプライベートアセット運用会社

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アーディアン

ファンド・オブ・ファンズの
セカンダリーで差別化
欧州最大のプライベートアセット運用会社

2018年07月26日

1996年にパリで設立されたプライベートアセット運用会社アーディアンは、2018年、世界13拠点目のオフィスを東京で立ち上げた。同社の特徴や投資戦略について、エグゼクティブ・コミッティー委員、 アジア代表兼ドイツ共同代表のヤン・フィリップ・シュミッツ氏と、日本代表兼マネージング・ディレクターの竹中寛次氏に話を聞いた。
(取材日:2018年7月11日)

長いトラックレコードを活かした安定運用

アーディアン
アーディアン
エグゼクティブ・コミッティー委員
アジア代表 兼 ドイツ共同代表
ヤン・フィリップ・シュミッツ氏(左)
日本代表 兼 マネージング・ディレクター
竹中 寛次氏(右)

――アーディアンはどのような運用会社か。

シュミッツ アクサグループの運用子会社として設立され、2013年に独立した。現在の資産運用・助言残高は710億ドルにのぼり、グローバルでみても有数の、欧州では最大のプライベートアセット運用会社だ。ファンド・オブ・ファンズ、ダイレクト・ファンズ、インフラストラクチャ―、プライベート・デット、不動産の5つの部門を柱に、約700の顧客に投資の機会を提供している。

――アーディアンの強みは。

シュミッツ 会社全体の強みとしては、長いトラックレコードとそれによる経験の蓄積が挙げられるだろう。設立後20年以上を経た今でも、依然として創業者がアクティブに活動していることは特筆するべき点だ。欧州全体でもみても非常に著名な金融家である、創業者のドミニク・セネキエはいまだに第一線で活躍している。その他のシニアメンバーも10年、20年という非常に長い実績があり、投資家の目に魅力的に映っているはずだ。

 部門別にみると、たとえばファンド・オブ・ファンズの特にセカンダリー分野では、グローバルでみても1、2を争う非常に大きな残高を運用している。この実績を支えている要因としては、主に以下の3つの強みが挙げられるだろう。

 1つ目は、資金力だ。最近のファンド・オブ・ファンズにおけるセカンダリーの取引規模は非常に大きく、10億ドル単位の規模になることもある。グローバルでも最大規模の資金力を有する運用会社でないと、とても扱うことはできないだろう。資金力で他社と差別化することで、競争の少ない市場で有利に取引を行うことができている。

 2つ目の強みは、セカンダリーとプライマリーの取引を同じチームで行っていることだ。全く同じ人間が両方の市場を担当することで、異なる市場のデータやリレーションシップなどを同時に把握することができ、相乗効果が生まれている。この効果はセカンダリー・プライマリー両部門での活動に活かされている。

 そしてこの相乗効果の一環として、精密なデータベースの管理・分析ができることが3つ目の強みだ。業界トップクラスの分析を行うことで、常に情報の優位性を保つことが可能になっている。

 プライマリー部門における強みとしては、世界14カ所の拠点を活かしたグローバルリーチが可能なことが挙げられるだろう。幅広い投資案件を手掛けられることは、大きなアドバンテージであると考えている。また、投資家のレポーティングに対する要求水準は日に日に高度化している。それに対しても当社は、規模の経済を活かすことでテーラーメイドのレポーティングを比較的リーズナブルな価格で提供することができる。単に投資の機会を開くだけでなく、投資家のガバナンスニーズにも対応できる点は大きな強みであると自負している。

 この他のダイレクト・ファンズ、インフラ、プライベート・デット部門についても、当社は欧州屈指のプラットフォームを有している。インフラは2005年から運用を開始し、初期のファンドはすでにフルエグジットしているなど、欧州でもマーケットリーダーといわれている分野だ。プライベート・デットも同様に2005年から運用しており、他社ではほとんど類をみないほどの長いトラックレコードだ。いずれの部門においても長い経験と確かな実績があり、そこに魅力を感じている投資家は多いだろう。

――ファンド・オブ・ファンズでは、具体的にどのような市場に投資しているのか。

シュミッツ 当社ではリスクの削減と安定運用を主たる方針として、3つの指標から安定的なファンドを選定している。セカンダリーでは投資先がおおむね定まっている一方、プライマリーはファンドの投資先が未定の状態で始まる。そのため、プライマリーの選定の際には、ファンドマネージャーのトラックレコードを特に精査している。

 ファンド選定の第1の指標は、ファンドの規模である。近年では中・小型ファンドに注目して投資を行うトレンドがあるが、当社は意識的に大型のファンドへ投資している。やはり大型ファンドの方が組織的にも安定しており、トラックレコードが長いことも多いためリスクを抑えやすい。

 第2の指標は、地域軸だ。成熟市場である北米、西ヨーロッパ市場を中心に、中国などの一部の成長市場にも投資している。一方で、リスクが大きいと考えられるアフリカや南米などの発展途上の地域は避けて運用を行っている。

 第3には、企業の成熟段階に注目して投資先を選定している。シード、ベンチャー、グロース、バイアウトのなかでも、シード、ベンチャーのステージにある企業は避け、とりわけバイアウト企業を中心に投資を行っている。成熟したキャッシュフローの見立てができる企業を選ぶことで、リスクの削減を図っている。

欧州最大規模のプラットフォームをローカライズして提供

――グローバルの投資環境をどう見ているか。

シュミッツ 全体的な投資環境として、市場は高騰しつつあるとみている。当社ではプライベート・エクイティ、インフラ、プライベート・デット、不動産を扱っているが、アセットクラスを問わず価格は上昇してきている。しかしこの状況は、上場株や債券などの伝統的な資産にも同様にいえることであり、相対的にみればプライベート・エクイティに優位性があるといえるだろう。これまでのトラックレコードを振り返っても、景気が落ち込んだ時期でさえ、プライベート・エクイティは安定的に1桁、時には2桁のリターンを出してきていることがわかっている。

 このような投資環境をふまえ、当社としてはいかに慎重に投資を行っていくかに最大の注意をはらっている。出自が保険会社にあり、リスクに対して慎重なDNAを持っていることが当社の特徴だ。プライシングの規律を保ち、変動の大きな市場は避け、精査を行ったうえで機動的な資産管理を行っている。

――欧州と日本では、市場や顧客の傾向に違いはあるか。

シュミッツ 欧州の顧客も日本の顧客も、非常に洗練されているという点においては近いものがあると感じている。その分要求水準も高いため、期待に応えるために全力を挙げている。

 一般的には米国の投資家層のトラックレコードが最も長く、次いで欧州、アジア圏と続くといわれているが、日本市場にももちろん豊富な経験をもつプレーヤーはいる。加えて、日本の投資家はディテールに強いことが特徴だ。事業内容の細かい点まで把握したうえで投資の判断をする人が多く、デューデリジェンスなどへの要求水準は高い。そういう意味では、トップクラスの人たちを相手にしているという意識がある。

 一方で、やはり投資を始めたばかりの人たちもいるのが日本の市場だ。まだこれから、という投資家に対してもハンズオンなサービスを提供していくことで、お互いに事業を拡大していけたらと考えている。

――日本の投資家に向けて、どのようなビジネスを展開していくか。

竹中 日本にはすでに十数社の顧客がおり、20億ドル超の資金を受託されている。ローカルオフィスがない中でこれまで活動を行ってきたにもかかわらず、トップクラスの銀行、年金基金、保険会社などとの関係を構築できていたのは、東京支店を設立するうえで非常に良いスタートだった。

 また、これまでも既存の顧客へサービスを提供するなかで、日本のゲートキーパーと関わりがあった。当社はゲートキーパーがその先の顧客に提案できるような、魅力的な戦略を豊富に用意している。ぜひ情報の共有や、サービスの共同提供を行っていくパートナーとして考えていただきたい。

 今後は今あるプラットフォームをローカライズし、レポーティングや規制に関してもより日本にフィットする形で提供していく予定だ。日本の投資家の皆様に当社のもつ大きなプラットフォームを活用していただき、より幅広く、深みのある関係を築いていきたい。