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あなたなら、どの方針を選びますか?

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【特別寄稿】Buyside Journey – 世界のバイサイドのリーダーが選択する4つの道筋とは
あなたなら、どの方針を選びますか?

2018年08月10日

Bloomberg L.P.
Steven Ioannou, Philippa Thompson

効率的なデータの活用と拡張性の高いオペレーションの実現

 世界のリーダー的立場にあるアセットマネジャーの皆様は、競争力を維持し続けるために、最先端の技術を採用し、積極的に新しい資産を取り込み、パフォーマンスの最適化に努めている。そして業務を遂行するにあたり、最も効率的で効果的なデータの活用方針と、それを実現する最新のテクノロジー戦略を選択する必要性を感じている。

 規制機関や顧客の皆様が透明性と効率をより重視し、業界全体が以前に増して手数料に敏感になっている今、こうした傾向は特に加速している。2018年1月には欧州でMiFID IIが施行された。この規制は世界規模でさまざまな影響をもたらしており、香港ではファンドマネジャーに対する業界ルールの改正、米国ではミューチュアルファンドに関するルールの近代化も進んでいる。規制の影響は、今後も大部分のアセットマネジメント企業およびウェルスマネジメント企業に波及していくと見られる。

 複雑で広範囲なデータへの需要が急速に高まりを見せるなか、次世代のオペレーションを目指すバイサイド企業間において、データのあり方を中心に据えた技術戦略、つまり成長を促すことができる、効果的かつ拡張性の高いオペレーションを実現し維持することができる、明確なターゲットオペレーティングモデル(TOM)が不可欠になってきている。

 TOMを開発するにあたり、考慮すべき重要なポイントは以下の3つである。

 まず、既存のシステムとプロセスを見直す必要があること。アセットマネジメント企業の多くが複数のテクノロジーソリューションを利用しているが、その結果として、TOMの開発において、不十分な統合化や従来型ソフトウェアによる制約が発生した場合、包括的な投資の監督や、運用会社全体での不正行為の監視が困難となる。また、複数のファンドの運用実績の計算や特定の発行体へのエクスポージャーを把握するといった、一般的な業務も難しくなる可能性がある。

 2つ目は、社内におけるステークホルダー間の優先順位を確認すること。最高経営責任者、最高投資責任者、最高技術責任者、そして最近、台頭している最高データ責任者などが、それぞれの立場において異なる事項を優先してしまうことがある。TOMの開発は、このような各ステークホルダーに連携を促し、共通の優先事項を再確認し、共有することを可能にする。

 3つ目に、外部の技術パートナーが御社の優先事項を十分に理解しているのか、また彼らに何を求めるのか、再確認することが重要である。ある第三者機関の研究によれば、従来型社内システムは、新たな取り組みに必要な拡張に対応しないため、注文や執行管理、ポートフォリオのリスクと分析、データ管理などの重要かつ複雑なシステムに関しては外部の技術パートナーに頼っている。データ要件を将来にわたって使えるようにするうえで、堅牢なホスト型システムが非常に有効となるだろう。

技術変革において重視すべき4つのカテゴリー

 ブルームバーグは、世界中のバイサイド企業の皆様とのTOMの開発に取り組んだ結果、データおよび技術変革を、企業の置かれている状態や目的別に、大きく4つのカテゴリーに分別し、明確化することができた。

 資産運用会社は目標のTOMに達成するために、1つを選択する場合、もしくは成長の過程でいくつかの変革を経験し、最終目的に達成することもある。

 ここでは資産運用会社が選択できる方針を大きく4つ挙げたが、技術やデータを変革する方法は1つには限られず、完全に終わることはない道のりでもある。

 専門性、展開、統合、あるいはアライメント、これらのどれを実行に移すかにかかわらず、その途中で組織とオペレーションモデルは進化し、新しい技術とデータセットも出現する。

 ますます競争が激しくなる投資環境のなかで優位性を保つためには、各企業のビジネスリーダーと技術リーダーは、TOMが確実に時の流れに耐えられるよう、再評価することも必要なのだ。

■技術変革の4つのカテゴリー(クリックすると拡大表示されます)
技術変革の4つのカテゴリー

専門性重視

 特定の投資戦略に特化したブティックアセットマネジャーやヘッジファンドは常に、競争力を維持するためオペレーションの規模を拡大したり、ニッチ市場を開拓したりしようとしている。しかし、このようなファンドは、その拡張計画を支援する能力がある拡張性の高いシステムを持たないことが多く、技術的な制約やコストの制約が制約要因になっている。そのため、ホスト型ソリューションなどで業務の混乱を最小限に抑えながら成長を支援してくれる技術パートナー1社と深く関わっていくべきである。

展開重視

 買収、パートナーシップ、または地域の人材による海外展開を目指すアセットマネジャーやファンドは多くの場合、まったく異なるオペレーティングモデルや、リアルタイムでパフォーマンスを評価する世界的な権限を持たないことに対処しなければならない。海外から監督して地方レベルで投資ポートフォリオを管理しようという熱意があるなら、世界レベルでのデータの透明性ならびに拡張性をより一貫したものにするために、グローバルOMS(取引管理システム)などの統一されたバイサイドプラットフォームを採用するべきである。

フロントオフィスとミドルオフィスの統合重視

 多くの地域に拠点を置く企業は、断片化されたシステムに苦戦する可能性が高く、それが意味するものは、規制上の条件を満たし、内部で見識を得ることが、運用コストの上昇につながるということだ。この状況では、投資のプロは投資サイクル全体でデータに対する一貫した所見が必要なため、連携が重要になる。したがって、地元の管轄区域および会計システムに準拠するために十分な柔軟性を備え、グローバルで連携のとれたミドルオフィスに支援される、統一されたグローバルフロントオフィスを含む一元化されたモデルを作成する必要がある。

企業全体の抜本的な改革重視

 世界中の大企業の多くは、たいていの場合、複雑な技術システムとビジネス関係を維持している。このような企業は、成長するにつれていくつかの道を経てきた可能性があり、その際に、成長するためのシステム拡張、データの使用率とコストの管理、オペレーションおよびフロントオフィスのプロセスの合理化、健全なガバナンスとパフォーマンス管理の実行、そして適度なワークフロー効率の実現に奮闘してきた。この道で成功しているアセットマネジャーは、地域の微妙な違いをすべて理解するために相当の時間を費やし、大規模な変更を計画して、組織全体における上層および中間層の理解が十分になるよう努めている。この方法は万人向きではないが、それを実行に移した企業の皆様は、将来の成長のために強力な基盤を構築していることを認識した上でそうしている。

Steven Ioannouはブルームバーグのアセット&インベストメントマネジャー(AIM)事業のグローバルマネジャーであり、Philippa ThompsonはAIMのアジア・太平洋マネジャーです。
ブルームバーグAIMは、バイサイドコミュニティ向けのエンタープライズソフトウェアとサービスソリューションを提供します。ブルームバーグプロフェッショナルサービスと統合されたAIMは、取引、リスクおよびポートフォリオ管理、コンプライアンスおよびオペレーションのためのソリューションを提供しています。 Waters Technologyは、2014年にブルームバーグAIMをベストバイサイドオーダー管理システム(OMS)とベストフロントオフィス統合プラットフォームに選定しました。世界の大規模な資産運用会社、ヘッジファンド、保険会社、年金基金、政府機関など、90カ国以上の850社を超える企業、14,000人近くのビジネスプロフェッショナルにより活用されています。
詳しくは、こちらのリンク先をご覧ください。

スティーブン・イオアノウ

スティーブン・イオアノウ
アセット&インベストメント・マネージャー(AIM) 部門責任者
Bloomberg L.P.

ニューヨークを拠点に、グローバルな製品開発、販売、導入、クライアントサービスを監督しています。近年までは香港を拠点に、アジア太平洋地域での販売、導入、サポートの責任者を担当しました。
2008年にブルームバーグAIMにアカウントマネージャーとして入社。その後、カナダと米国東海岸部の地域責任者になりました。 2012年にはヨーロッパ、中東、アフリカのAIMの責任者としてロンドンに移り、2014年はAIMのアジア責任者、2016年半ばには、グローバルに事業を展開するため、ニューヨークに移りました。ブルームバーグに入社する前はバークレイズ、それ以前は、リーマン・ブラザーズのウェルスマネジメントおよび機関顧客グループ部門のバイスプレジデントを務めました。
ストーニーブルック大学(Stony Brook University、New York)の経済学とジャーナリズムの学士号を取得しています。プライベートパイロットのライセンスを持っていて、ドラゴンボート愛好家です。

フィリッパ・トンプソン

フィリッパ・トンプソン
バイサイド・オーダー・マネジメント(AIM)
アジア太平洋地域責任者
Bloomberg L.P.

アジア太平洋地域のブルームバーグのバイサイド・オーダー・マネジメント部門(AIM)を統括しています。香港に拠点を置くトンプソンは、アジア太平洋地域の販売、導入、顧客サービスを統括しています。資産管理業界において最も大規模で複雑とされるいくつかのテクノロジー案件において顧客に助言をしてきた経歴があります。
バイサイドの顧客にとってデータや技術変革の道筋を考察するにあたり参考となるホワイトペーパー「Buyside Journey」の共同著者でもあります。
2008年にブルームバーグに入社。2014年に北欧のバイサイド事業を率いた後、2016年に香港に移りアジア太平洋AIMグループの統括となりました。Leeds大学からフランス語と言語学の学士号を取得しています。