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PwC

オルタナティブ投資の個別事情に対応
ファンドのライフサイクルを通じてサポート

2018年08月07日

近年拡大を続けるオルタナティブ投資は、伝統的な株式投資や債券投資と異なり、投資家、運用会社、ファンド、アドミニストレータなど多岐にわたる関係者との調整や知識・ノウハウが必要となる。PwCでは、オルタナティブ投資に携わる機関投資家や資産運用会社が直面する課題の解決に向け、会計監査、税務や法務、アドバイザリー業務などを専門とするプロフェッショナルが国内外で連携し、多種多様なサービスを提供している。
(取材日:2018年7月11日)


(左)
PwCあらた有限責任監査法人 第三金融部(資産運用)パートナー
PwC Japanグループ 資産運用インダストリー・リーダー
清水 毅
(中)
PwCルクセンブルク法人
パートナー/マーケット・リサーチ・インスティチュート・リーダー
ダリウッシュ・ヤズダニ
(右)
PwCシンガポール法人 パートナー
PwCアジア・パシフィック 資産運用リーダー
ジャスティン・オング

2016年から2020年まで年8.5%の拡大を見込む

――世界と日本におけるオルタナティブ投資の現状について。

ヤズダニ かつて、年金基金などの機関投資家の多くは、先進国のソブリン債を主要な資産として利回りを享受してきた。世界金融危機以降は、一部の国では長期金利がマイナスになるなど、債券投資では十分な利回りを得られなくなったため、投資家はポートフォリオの見直しを迫られてきた経緯がある。

 米国ではそれより前の1990年代から、当時FRB(米連邦準備理事会)理事長だったグリーンスパン氏が低金利政策を推し進めたことで、債券からオルタナティブ投資へのシフトが見られ、その流れは金融危機によって大幅に加速することとなった。ファンドに関する複数の調査会社のデータによると、世界の年金基金のポートフォリオに占めるオルタナティブ投資の割合は1997年時点で4%にすぎなかったが、2017年には25%に伸びている。

 今後もオルタナティブ投資は拡大を続けるだろう。2012年から2016年までの4年間で、世界のオルタナティブ投資は年11.8%の拡大となったが、PwCでは2016年から2020年の4年間についても、年8.5%ほどの拡大を見込んでいる。資産規模では、2016年の10.1兆ドルから、2025年には21.1兆ドルの規模になると予想している。

 オルタナティブ投資が拡大すると考える理由は、主に以下の3つである。1つ目はポートフォリオの分散化が図れること。2つ目はリスク調整後のリターンについて、伝統的な債券投資や株式投資以上のパフォーマンスを狙えること。3つ目は、非流動性によるプレミアムの存在だ。とりわけ年金基金にとって流動性はさほど重要でないことを背景に、年金による非流動性資産への投資が増えている実態がある。

オング アジア太平洋地域においても、欧米と同様にオルタナティブ投資へのシフトが起きている。もともと不動産投資のボリュームが大きかったが、近年ではインフラ投資が盛んだ。

 この地域におけるオルタナティブ投資の問題点として、対象となる資産の供給が少ないことが挙げられるが、現在は金融セクターやソブリンウェルスファンドのオフバランス化がトレンドとなっている。つまり、彼らが運用していた資産が売りに出されているということだ。以前と比較すれば、機関投資家にとってオルタナティブ投資を行いやすい環境だといえる。

清水 日本では、世界最大の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が資産全体(平成29年度末で約156兆円)のうち5%を上限として、インフラやプライベート・エクイティ(PE)、不動産などオルタナティブ資産に対する投資を増やすと公表しており、実際に組成が始まっている。政府系大手銀行も、オルタナティブ投資の推進を掲げ、2020年までに投資残高を5~6兆円まで増やすと言っている。債券の利回りがマイナスに推移するなかで、オルタナティブ投資の存在感が増しているのが現状だ。

オルタナティブ投資でも重視されるESG

――オルタナティブ投資の今後の見通しは。

ヤズダニ 世界レベルでは、インフラの金利上昇が見られると考えている。新興国の都市化、先進国の老朽化したインフラの改修の両面で需要が高まることと、例えば自動運転のような新しいテクノロジーに基づく、新しいインフラへの要請もある。一方で、金利上昇はインフラ事業を進めるうえでの制約要因にもなりうるので、金利の動向には注意が必要だ。

 PwCではインフラファンドの成長率を、2016年から2020年までが年25%超、2020~2025年は15%超と予測している。

 インフラ以外では、不動産とPEが強い成長を見込めるのではないかとみている。一方、ヘッジファンドは大きな課題を抱えている。金融危機後の強気市場において、ヘッジファンドは「強気」ゆえに高いリターンを求められ、機関投資家が要求するレベルでのリターンを達成しづらい環境が続いていた。この先市場環境が大きく変化するときこそが、ヘッジファンドの能力の見せどころといえるだろう。

清水 日本のマーケットを海外と比較すると、PEやベンチャーキャピタルの市場規模が小さい。しかし、日本企業も今後はイグジットや撤退戦略として部門を切り離すような動きが増えると考えられるため、PEの活動も活発化するのではないか。

――オルタナティブ投資に関連する、PwCが提供するサービスとは。

ヤズダニ オルタナティブ投資に携わる顧客に対して、PwCは多様なサービスを提供している。ファンドの組成時には投資家、運用会社に関するリサーチ分析やファンド組成支援サービス、組成後はファンドの監査、バリュエーション、税務、ガバナンス・リスク管理・コンプライアンスなどのアドバイザリー業務、償還時には償還監査や各種事務手続きといったアドバイザリー業務など、ファンドのライフサイクルに沿って、さまざまな側面からのサービスやアドバイスの提供が可能だ。またPEに対しては、投資先企業のバリュエーションに関するデューデリジェンスも行っている。

 PwCは世界158カ国に及ぶグローバルネットワークを有しているので、グローバルなディールを世界レベルで支援できる点も強みだ。

オング 機関投資家にとって、オルタナティブ投資に関する各種レポートの作成は困難な課題の1つだ。オルタナティブといっても分類ごとに投資の仕方が異なり、リターンの出方も異なる。統一性や整合性を保って、それらについて投資家向けレポートや当局向けレポートを作成することは容易ではない。そうしたレポーティングにおけるサポートも行っている。

 また、近年ではPEにおいてもESG(環境・社会・ガバナンス)を重視する傾向が強まっており、ESGに関するサービスには特に力を入れている。

 年金基金などに対して、ESG投資の開示を求める国が増えている。将来的にはおそらく、日本を含むすべての地域で開示が義務づけられるようになるだろう。開示義務のみならず、リスク回避の手段としてもESGは重要だ。

ヤズダニ 今後、機関投資家のポートフォリオはますます分散化が進むだろう。オルタナティブ投資においても、複雑性を伴う新たなアセットクラスが出てくる可能性がある。機関投資家が、これら未知の複雑なアセットクラスに対して、リスクマネジメントやバリュエーション、コンプライアンスなどにおいて適切な判断を下し、リターンを最大化させるために、ぜひPwCの知見を活用していただきたい。