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日本投資・運用フォーラム2018 講演レポート

今注目すべき「汎アジア債券」と
「中国債券」による投資ソリューション

横谷 宏史

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社
運用部 マネージング・ディレクター
ポートフォリオ・ストラテジスト(債券/為替)

金利の反転上昇に備える、30年先を見据えた運用の必要性

横谷 宏史氏

世界中の投資家が活用するグローバル債券指数の1つであるWGBI(FTSE世界国債指数)の算出が開始された1986年あたりを境に、世界の金利は過去に例のない高水準から歴史的に見て非常に低い水準へと低下を続けました。それから約30年が経ちますが俯瞰して見てみると、この30年は債券を購入して保有し続けているだけで値上り益が得られた、いわば債券投資に追い風が吹いていた黄金時代だったといえるのではないでしょうか。

当然、今後も金利は低下し続けるかもしれません。しかしこれからの10年、20年、30年の運用を考えたときは、現在の金利水準が横ばいで続くないしは反転上昇していき、債券価格の値上がり益に依存するのは難しい局面に備える必要があるでしょう。

これまで、金利は心電図に例えられるよう、「急上昇→低下→低位で推移→急上昇→低下」といった挙動を繰り返してきました。私は長期的な金利の動向は過去にあった大きな経済サイクルと関連付けて考えており、これまで、「ジェノバ→オランダ→イギリス→米国」と経済・金融の中心となる経済圏が移り替わるなかで、元の経済圏から新たな経済圏への資金の移動に伴い金利の急上昇とその後の低下という動きが起きてきたと解釈しています。この解釈に基づくと、ブレトンウッズ体制が崩壊した1971年に時期を同じくして、米国金利が急上昇し、その後は低下を続けていることから米国サイクルは終わったとも考えられます。

そうしたなか、これからは値上がり益をねらうのではなく、大きな経済と金利のサイクルが起こる投資先を選択しクーポン収益を積み上げていく、債券投資の基本に立ち返るような運用戦略が求められるのではないでしょうか。数ある投資先のなかでも当社はアジアを有望視しており、そのなかでも「汎アジア債券」と「中国債券」に注目しています。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社

信用力対比で高利回りなアジア・中国債券

「汎アジア債券」はアジアに幅広く投資するための有力な投資候補となります。当社が2005年から運用しているアジア地域初の債券ETF であるPAIF(アジア国債・公債ETF(正式名称:ABF汎アジア債券ボンドインデックス・ファンド))も汎アジア投資の手段の1つです。タイ、シンガポール、フィリピン、マレーシア、中国、香港、インドネシア、韓国の8つの国・地域の現地通貨建ての国債や政府機関債に投資できます。

 一般的なファンドと異なり、PAIFはアジアの国・地域の中央銀行のイニシアティブの下で生まれました。きっかけは1997年のアジア通貨危機です。通貨危機再発防止のためアジア諸国の中央銀行主導の下でアジア地域での金融の流動性向上と長期債券発行による資金調達の促進が掲げられ、その一環の地域共同プロジェクト「ABF(アジア・ボンド・ファンド)イニシアティブ」としてPAIFは 11の中央銀行のシードマネーを基に組成されました。

当初、資産残高は約1000億円でしたが現在は4倍まで増加。PAIFの平均格付けは足元で「AA-」格相当と日本の国債よりも高く、平均利回りは3%台後半となります。アジア全体への投資となるため金利変動の影響も緩やかで、利回りも確保できることから、今後はさらに世界の投資家からの需要が高まってくるものと考えています。

「中国債券」は今年から来年にかけて大きな変化があるため、数ある債券市場のなかでも特に注目しています。中国債券に注目する理由は3つあります。1つは低金利です。中国債券市場の金利水準は低く、長短金利差が小さいためイールドカーブも比較的フラットなので3年以下の短期債への投資も有効です。そのうえ、グローバルな金利変動に対する感応度が低いため金利リスクのヘッジ効果もあります。

新原謙介氏
カクテルスポンサーとして、懇親会であいさつしたステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社常務取締役 チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO) 新原謙介氏

2つ目が中国債券市場への大量の資金流入です。2017年7月の債券通(ボンドコネクト)の開始や2019年4月に予定されるブルームバーグの世界総合債券指数への中国債券の組み入れなど、海外投資家の中国債券市場へのアクセス環境が整ってきており、中国債券市場の成長とともに流動性の改善が期待されます。3つ目が人民元の存在感の高まりです。IMF(国際通貨基金)のSDR(特別引出権)の構成通貨のうち、人民元はいまや米ドル、ユーロに次ぐ3番目の比率となっており、投資資金を振り向ける価値が増しています。

当社では今後、中国本土で発行・流通している満期3年以内の人民元建て国債、政策銀行債などへ投資するファンドを提供します。「為替ヘッジなし」のほか、ヘッジコストの高い人民元/円でなく、米ドル/円でヘッジを行う「為替ヘッジあり」タイプも提供することで、利回りが確保できる多様な投資機会を投資家に提供していきたいと考えています。

〈アジア国債・公債ETF(正式名称:ABF汎アジア債券インデックス・ファンド)の投資にかかるリスク〉
アジア国債・公債ETF(以下、当ETF)は、Markit iBoxx ABF 汎アジア指数を連動対象とし、主に債券等の有価証券に投資を行います。当ETFへの投資には、市場リスク、為替リスク、金利リスク、信用リスク、カントリーリスク、流動性リスク等が伴います。これらのリスク要因により当ETFの価格が変動し、その結果、投資元本を損なう可能性があります。なお、ETFの投資にかかるリスクは上記に限定されるものではありません。
※その他当ETFのリスク全般に関する詳しい内容は有価証券報告書等をご確認下さい。

〈その他:ETFの投資にかかる一般的なリスク〉
一般にETFには上場廃止リスクがあり、純資産規模が縮小するなど、運用が困難になった場合や、上場取引所の上場基準に合致しなくなった場合、上場廃止となることがあります。また市場価格とETFの一口あたりの純資産額が乖離する可能性があります。
※これらは主なリスクであり、ETFへの投資に係るリスクはこれらに限定されるものではありません。

〈手数料・費用〉
【売買手数料】当ETFを売買する際には、取扱いの金融商品取引業者(証券会社等)の定める売買手数料がかかります。
【当ETFの信託にかかる費用】当ETFの信託にかかる費用は、運用報酬、信託報酬、ライセンス・フィー及びその他の費用等があり、年率は合計で当ETFの純資産価額の0.18%程度(2018年6月末現在)です。その他ETFを保有する際には、それぞれ個別に定められた費用がかかります。これらの費用は、運用状況等により変動するものであり、事前に上限額を示すことができません。当ETFの運営費用は将来に渡り変更される可能性があります。
※購入のお申し込みや売買手数料等につきましては、当ETFを取扱いの金融商品取引業者(証券会社等)までお問い合わせ下さい。

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