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システム開発やWEB・英文開示などに注力

J-MONEY2014年冬号 注目記事

TOPインタビュー プロネクサス 代表取締役社長 上野 剛史氏

国内上場企業の6割と取引
システム開発やWEB・英文開示などに注力

企業のディスクロージャー(情報開示)やIR(投資家向け広報)活動をシステムおよび関連サービスでサポートするプロネクサス。上場企業の約6割と定期的な取引があり、95-96%の高いリピート率を誇る同社の強みや今後の事業戦略などについて代表取締役社長の上野剛史氏に聞いた。(工藤晋也)

株券印刷を皮切りにディスクロージャー、IRに進出

──企業のディスクロージャーやIR支援を中核ビジネスとする御社から見て、最近の日本企業にどのような変化が表れていますか?
上野
 個々の企業によって温度差はありますが、全体ではディスクロージャーやIRへの取り組みが強化されています。とくに外国人投資家や個人投資家の存在感が高まっており、決算関連書類などの英文化や写真・グラフを活用した分かりやすい株主総会資料を制作する動きが目立ってきたと感じています。

──そもそも御社は株券印刷を専門とする企業として産声を上げました。
上野 1930年の創業から1960年代まで当社の成長を支えたのが株券印刷でした(図表1)。1970-80年代には株主総会招集通知などの商法(現在の会社法)関連書類の分野に進出。その後、有価証券報告書などの証券取引法(現在の金融商品取引法)関連書類、国内の投資信託やJ-REITの目論見書、運用報告書の制作、IR分野へと事業領域を広げていきました。

 2000年代に入ると、2001年のEDINET(電子開示システム)をはじめ、ディスクロージャーやIRの世界でも電子化が加速。当社では2003年に他社に先駆けて編集作業の効率化や強固なセキュリティ環境などを実現した開示書類作成支援システム「エディッツ・サービス」の提供を開始しました(図表2)。

 2008年にEDINETが財務諸表のXBRL(財務報告用コンピューター言語)データでの提出を義務付けた際も、いち早くXBRLにも対応した開示書類作成システム「プロネクサス・ワークス」をリリースしました。

── 上場企業の約6割と取引があり、リピート率は95-96%もあります。
上野
 その原動力が「システム開発力」「コンサルティング力」「高い情報セキュリティ環境」です。「システム開発力」では「エディッツ・サービス」をはじめ、これまで顧客ニーズに合ったシステムやサービスをゼロからつくり上げており、マーケットシェアを上積みするけん引役になっています。

 ディスクロージャーやIRを取り巻く環境は法律改正を含め、目まぐるしく変化しています。当社ではディスクロージャー研究部というコンサルティング部門を立ち上げ、ディスクロージャーに関する法律や制度の最新情報やドキュメント作成時のポイントなどをセミナーやガイドブックを通じて伝えるとともに、お客様の原稿をチェックするサポート体制を整えています。これが「コンサルティング力」です。

 3つ目の「高い情報セキュリティ環境」は、創業時に極めて現金に近い株券印刷を手がけてきたことが源泉になっており、情報の正確性やセキュリティの堅牢性、あるいは強固なコンプライアンス体制の確立につながっています。

──2013年は5期ぶりに増収に転じましたが、その要因は何でしょうか?
上野
 日本の株式市場が回復したことが要因の1つです。アベノミクス効果を背景とした株高で企業のディスクロージャーやIR活動が活発化したことが業績好転に寄与しました。

 さらに2014年1月に始動したNISA(少額投資非課税制度)の効果も加わり、投資信託の新規設定が相次ぎ、開示書類などの受注が増加していることもプラスに働きました。外国人投資家や個人投資家向けのディスクロージャーやIR関連のドキュメントやWEBサイトの作成ニーズが強まっていることも追い風になっています。

製造コストを4.8ポイント削減
営業利益率はほぼ目標を達成

──2011年4月から2014年3月までの中期経営計画のなかで3つの基本戦略を掲げていますが、進捗状況はいかがでしょうか?

上野 1つ目の基本戦略は「3つの成長ドライバーの重点強化」です。成長ドライバーの1つ「システム」では、2014年1月に本格稼働する次世代EDINETへの対応を最重点課題とし、「プロネクサス・ワークス」のバージョンアップを進めています。

 もう1つの成長ドライバーである「WEB」については、決算短信や有価証券報告書などを提出後、IRサイトを自動更新するといった機能を持つIRサイト自動更新・構築支援システム「E-IR」を展開。採用社数は上場企業の6分の1に相当する約600社まで拡大しています。

 3つ目の成長ドライバーは「データベース」です。当社は2012年12月、日立ハイテクノロジーズの企業情報データベース「NEXT有報革命」事業を買収しました。これによって当社の企業情報データベース「eol」の文章検索機能やアジア地域の上場企業約1万2000社を網羅しているといった強みに、「NEXT有報革命」の高度な分析機能などが加わったことで検索・分析機能やコンテンツ収録範囲が拡大しました。

 2つ目の基本戦略は「徹底した製造コスト削減で収益力強化」です。生産プロセスの見直しや生産性・内製率の向上、材料費の圧縮などで原価率は2011年3月期から2013年3月期までに4.8ポイント下がりました。3つ目の基本戦略である「人財・組織・マネジメント力の強化」も順調に進んでおり、社員1人当たりの生産性も向上しています。

 売上高や営業利益は数値目標に届いていませんが、2つ目の基本戦略である製造コストの削減が功を奏し、売上原価率や営業利益率はほぼ達成できる見通しです。

──今後はどのような事業戦略を描いていますか?

上野 これまで当社は、EDINETの導入や進化に伴って「エディッツ・サービス」や「プロネクサス・ワークス」を開発、提供してきました。その度に2001年3月期の33.2%から2008年3月期の53.7%と、マーケットシェアを伸ばしてきました。2014年1月に本格化する次世代EDINETでも顧客ニーズにあったシステムの開発、提供でマーケットにおける存在感をより高めていきたいと考えています。

 株式市場の回復やNISAの始動で投資信託やJ-REIT市場が活性化しています。当社は現在、投資信託やJ-REITの国内系運用会社の8割以上と取引がありますが、投資信託運用会社向け業務支援システム「FDS」やREIT運用会社向けファンドマネジメントシステム「FMS」を通じてさらにシェアを伸ばしていきたいと考えています。

 また、外国人投資家や個人投資家の台頭により、開示書類の英文化やWEBサイト制作といったニーズが高まっています。当社では2013年4月に財務情報翻訳の専門会社である日本財務翻訳を100%子会社化し、WEB制作会社のミツエーリンクスと業務提携するなど英文化やWEB対応力の強化にも注力しています。

 ディスクロージャーやIRの効果は企業業績やマーケット環境に連動します。アベノミクス効果で株式市場が活況にあるなか、企業のディスクロージャーやIR活動のサポートで株主や投資家との架け橋となることで、企業価値向上に貢献できればと思っております。