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2位みずほと共に得票数で大躍進

J-MONEY2012年秋号 注目記事

第22回東京外国為替市場調査

三菱東京UFJが7連覇達成
2位みずほと共に得票数で大躍進

欧州債務危機の長期化を背景として、世界的に景気回復は鈍化。主要国が軒並み金融緩和に踏み切るなど、円高脱却の糸口は見えない。こうした情勢をM&Aなど海外投資のチャンスと見る動きが日本国内では鮮明になっている。今回で22回目となる東京外国為替市場調査の結果を分析する。(前川聡)
※各金融機関のコメントや通貨別ランキングなどは誌面に掲載。

総合評価では国内勢優勢
エマージング通貨が堅調

 2011年後半からの外国為替市場は、欧州債務危機や各国の金融政策に一喜一憂しつつも、ボラティリティの低い相場環境が続いている。

 ドル/円相場では、2011年10月31日早朝に戦後最高値の75円32銭まで円高が進み、日銀が同日中に円売り介入を実施。2012年2月には、日銀の資産買入等基金増額の発表とテクニカル的な転換点が重なり、一時84円台にのせる場面もあったが、円安トレンドは続かずに終わった。

 その後は、5月に行われたギリシャ総選挙による混乱を経て、6月に中国銀行による3年半ぶりの利下げ、9月のECB(欧州中央銀行)国債買い入れ決定、米国のQE3(量的緩和策第3弾)へと続き、方向感のない展開となっている。

 このままいけば、2012年は変動相場制導入以降の最小レンジとなる見込みだ。妙味の少ない相場環境を反映するように、東京外国為替市場委員会の調査によると、2012年4月の1営業日平均取高は2826億ドルと前年同期比で0.7%減少した。

 今回の調査には、過去最高を更新した前回の797社・機関を大幅に上回る1055社・機関が参加。回答者の内訳は、事業法人635社・機関(前回比236社・機関増)、金融法人382社・機関(前回比27社・機関増)、外国為替証拠金取引38社・機関(前回比5社・機関減)となっている。

 ランキングは前回に引き続き国内勢優位となった。総合評価ランキングでは、7連覇となった三菱東京UFJ銀行と、前回同様2位につけたみずほフィナンシャルグループの強さが目立った。得票数(各回答者が順位付けして選んだ複数の金融機関を規定ポイントで計算した数値)で両行とも前回からほぼ倍増。いずれも事業法人投票の得票数を大幅に増やしている。

 アジアを中心とする地域へのM&Aなどによる海外投資需要の高まりを見越した体制強化が功を奏したと見られる。両行は、通貨別ランキングでも着実に上位を維持した。国内勢は、メガバンクの一角である三井住友銀行も4位(前回5位)と、順位を上げている。

 外資系金融機関では、バンクオブアメリカ・メリルリンチが事業法人投票で前回から大幅に得票を増やして5位(前回7位)に入り、シティも前回9位から7位に順位を上げた。他の外資系は得票数こそ増加傾向にあったものの、総合評価ランキングでは国内勢に上位を譲る結果となった。

取引額を考慮した評価で外資系金融機関が健闘

 総合評価ランキングに対し、前回まで月間平均取扱金額の大きさに応じて配点した金額加算ランキングを掲載してきたが、今回からさらに新たなランキングを加えた。月間平均取扱金額100億円以上の回答者を抽出し、総合評価ランキング同様の規定ポイントで計算したハイボリュームランキングだ。

 このハイボリュームランキングでは、ドイツ証券が2位に食い込むなど外資系金融機関の追い上げが目立った。目を見張るのはJPモルガン・チェース銀行。事業法人、金融法人ともに得票数を伸ばして4位につけ、得意とする大口顧客との取引が堅調だったことをうかがわせた。

 金額加算ランキングは、回答者からの指名順位(1~5位)と、各回答者が自己申告した月間平均取扱金額に応じて配点し、計算している。配点の基準となる取扱金額は10億円未満、100億円未満、500億円未満、1000億円未満、1000億円以上の5段階。このランキングでも外資系金融機関が優位であった。

 1位は前回同様、ドイツ証券。金融法人投票、外国為替証拠金取引会社投票でトップを飾ったほか、事業法人投票でも大幅に得票数を伸ばした。その他の外資系では、総合評価9位となっていたバークレイズが4位に入ったのに加え、総合評価でトップ10圏外だったHSBCとUBSも8位、9位と続いている。国内勢ではみずほが前回7位から3位にジャンプアップするなど健闘した。

Eトレードは機能向上強化
アジア増強は今後も継続

 ここ数年、各金融機関が力を入れてきたのはEトレードだ。Eトレーディング・シングルバンクランキングで2連覇となったドイツ証券をはじめとする外資系はもちろんのこと、同ランキング3位に入った三菱東京UFJ銀行が独自開発によるインフラを高度化するなど、多くの国内勢も、この分野の強化に余念がない。

 すでに顕在化しているニーズでは、アジアを中心とするエマージング通貨での決済の需要がますます高まると見られている。M&Aなどによる海外進出といえば、かつては大企業の専売特許であったが、最近は中小企業にも浸透してきている。輸出企業だけでなく、内需型企業にまで広がっているのも特徴だ。

 「これだけ円高が定着してしまうと、企業は海外進出を検討せざるを得ない」(邦銀の外為担当者)、「中国は人民元をアジアの通貨の中心にすべく金融市場の改革・解放を進めている」(別の邦銀の外為担当者)など、多くの金融機関は強気の見通し。

 邦銀3メガバンクが対応を進めているのはもちろんのこと、ドイツ証券がシンガポールに駐在する邦人スタッフを増員するなど、外資系金融機関でもエマージング通貨の強化は進んでいる。

 各金融機関では、技術開発や体制強化のスピードを速めている。背景にあるのは相場環境の難しさだ。主要通貨の金利差がない状態が長期化すれば大きなトレンドは発生せず、ボラティリティの低い相場が継続する可能性は高い。

 東京外国為替市場委員会の調査によると、過去2年間増加傾向だった電子取引は2012年の調査で減少に転じている。エマージング通貨の取引に当たっては、短期的なカントリーリスクも織り込んでの戦略が必要になるだろう。

 各社を取材した際、ある外資系金融機関の担当者は「Eトレードのシステム強化はサービス向上のための一環に過ぎない」と強調した。まさに、今後はEトレードのプラットフォームや各社が有する人材を活かして、顧客のニーズにどう対応するか、あるいは潜在的なニーズをどう掘り起こしていくかが、これまで以上に重要になりそうだ。