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みずほ、三井住友の国内勢が浮上

J-MONEY2011年秋号 注目記事

第21回東京外国為替市場調査

三菱東京UFJ銀行が6年連続V
みずほ、三井住友の国内勢が浮上

くすぶり続けた欧州の信用不安は外為市場を直撃した。一時ドル円は75円台、ユーロ円は101円台まで急落。日本の投資家や企業は、長期化する円高局面を「攻め」と「守り」に活かすべく、新たな為替戦略を探り始めた。市場はどう動いたのか。東京外国為替市場調査の結果を紹介する。(森重瑛美)
※各金融機関のコメントや通貨別ランキングなどは誌面に掲載。

事業法人部門票を伸ばしたモルガン・スタンレーMUFG

 2010年後半から2011年夏にかけての東京外国為替市場は、中東革命や欧州危機、米国債格下げなど波乱のマーケットとなった。3月11日の東日本大震災後は、原発事故などの影響もあり一時は取引を危ぶむ声も出た。しかし、在邦金融機関の努力によって市場の動揺はまもなく沈静化。震災後に実施した東京外国為替市場委員会の調査によると、2011年4月の外国為替取引高は1営業日平均取引高は2846億ドルと前年同期間に比べて8%増加した。

 円対ドルや円対ユーロ取引が減少する一方で、新興国通貨などその他通貨取引は増加。変動の激しい相場への注目度は高く、今回の調査には過去最高の797社・機関(前回比47社・機関増)が参加した。回答者の内訳は事業法人399、金融法人355、外国為替証拠金取引43。

 全体を通じて、国内勢の躍進が目立った。みずほフィナンシャルグループは前年5位から2位に、三井住友銀行は9位から5位に浮上し、国内市場における顧客基盤の厚さを印象付けた。外資系金融機関は得票数(各回答者が順位付けして選んだ複数の金融機関を規定ポイントで計算した数値)で前年並み、あるいは増加したにもかかわらず、相対的に順位を下げる結果となった。

 激戦を制し、総合評価1位に輝いたのは三菱東京UFJ銀行。東京三菱銀行とUFJ銀行の合併以来、6年連続で首位を守った。近年注力してきたEトレードへの取り組みが奏功し、Eトレード部門でも得票を伸ばした。

 首位を猛追したのが、みずほフィナンシャルグループだ。得票数を1152と前回の642からほぼ倍増し、1位に24ポイント差まで迫った。みずほコーポレート銀行とみずほ銀行は統合に向けて連携強化の方針を打ち出しており、今後の動向にも注目したい。

 メガバンクの一角、三井住友銀行も前回9位から5位に浮上。モルガン・スタンレーMUFG証券も伸びた。同社は事業法人部門の得票数の大幅積み上げが奏功し、前回20位からトップ10入りを果たした。

ハイ・ボリューム取引では外資系金融機関が優勢

 取引金額のボリュームを評価に加味した「金額加算ランキング」では、ドイツ証券が総合、金融法人、外国為替証拠金の各部門で1位に輝いた。昨年総合4位だったバークレイズは2位に上昇。バンクオブアメリカ・メリルリンチも11位から6位にジャンプアップした。ユーロマネー誌が実施している2011年グローバルFXポール調査から抽出した東京市場のシェアランキング(J-MONEY 2011年夏号に掲載)もほぼ同様の傾向にある。外資系金融機関の優勢傾向が鮮明となった。

 取扱金額別に総合評価をみると、1000億円以上の区分ではドイツ証券とバークレイズの強さが際立つ。ドイツ証券、バークレイズはそれぞれ「Autobahn」「BARX」というEトレードプラットフォームの先駆者だ。金額加算ランキング5位のシティも「Velocity」が定着しつつあり、Eトレードシングルプラットフォームでは昨年同様ベスト3入りを果たした。これらの金融機関は、優れたEトレードシステムを武器に、取扱金額の大きい金融機関や外国為替証拠金会社の支持を多く集めた。ドイツ証券は今年から新設した「NDF」「為替運用商品」での評価も高かった。

 日本の為替市場でもEトレード取引は拡大傾向にある。ある外資系金融機関の外為ヘッドは「『Eトレードを制するところが市場を制する』という流れは加速している」と、その重要性を強調した。

 Eトレードのプラットフォームは通貨オプションやNDFに対応するなど進化を遂げている。国内では金融法人が先行して導入していたが、事業法人においても「Eトレードの端末を経営陣のそばに置き、迅速な意思決定に役立てようとする企業もある」(外資系金融機関の外為担当者)など、広がりを見せている。

エマージング通貨への包括的な対応力が問われる

 電子取引が伸びる一方で、セールスの提案能力に対する期待も高まっている。円高の長期化を背景に、企業のグローバル展開は自動車などの輸出型産業だけでなく、日用品などの内需型産業にも広がる。さらに、アジア圏では現地通貨決済の割合も高まっており、今回の取材ではほとんどの取材先で「エマージング通貨への対応力が評価の分岐点になるだろう」(邦銀の外為担当者)という声を聞いた。

 別の邦銀の為替担当者も「日本企業のアジア進出を支援するには、ヘッジの提案はもちろん、より長期的な視点に立った為替の戦略的サポートが必要だ」と強調。ある市場関係者は「グローバルに事業展開している大手の日本企業の多くは、為替だけでなく、コモディティや金利などを含めた包括的なリスク要因へのソリューションを求めている」と指摘する。為替単独の商品・サービスだけではなく、スキーム(パッケージ)として顧客が有利になる提案が求められている。

 今回の調査でも、新設した商品提案力部門で2位のJPモルガン・チェース銀行は、総合で4位、金融法人部門で2位など総じて高い評価を得ている。プレインバニラやエキゾチックなどオプション部門で評価の高かったBNPパリバも、総合8位と上位に食い込んだ。

 為替市場に直接アクセスする手段を持たない企業にとって、金融機関のセールス担当者は重要な戦略パートナーだ。「日本企業は『話し合い』というプロセスを踏まえた提案を大切にする」(外資系金融機関の事業法人部門外為担当者)こともあり、各金融機関はセミナーや顧客訪問を通じて顧客への情報提供やニーズの聞き取りに力を入れている。

 日本企業のグローバル化が進み、戦略的な為替ソリューションを求める声はますます高まっている。各金融機関はどう応えていくのか、今後の動きに期待したい。