Advertisementアクサ・インベストメント・マネージャーズ
TOP > 注目記事 > 株式市場は史上2番目の大型増資が話題
社債市場は低金利を背景に拡大

ユーロマネー日本語版2011年春号 注目記事

2010年リーグテーブルズ

株式市場は史上2番目の大型増資が話題
社債市場は低金利を背景に拡大

リサーチ会社ディール・ロジックのデータ(金額ベース)をもとに、2010年の株式資本、債券資本、M&A、シンジケートローン各市場におけるハウスオブザイヤーを選考した。
全13部門のランキングと受賞各社のコメントを紹介する。

2010年リーグテーブルズ 受賞各社の声

エクイティハウスオブザイヤー/ベストフォローオンハウス
野村證券

テーマ性のあるファイナンスに国内外のネットワークで対応

 2010年は欧州ソブリン危機などが市場に混乱をもたらしたものの、全般的に落ち着いて推移した1年だったといえるでしょう。リーマン・ショック以降、金融危機を克服するための緊急性の高い案件が増えていましたが、2010年のエクイティ市場は、将来を見据えたテーマ性のあるファイナンスが顕著になっています。

 代表例が、国内事業法人の公募増資として史上2番目の大型案件となった国際石油開発帝石の増資です。7年間で4兆円の投資を行う大型プロジェクト実行に向けた財務基盤の強化が、この資金調達の主眼でした。財務の健全化を通じて将来的な調達余力を確保できれば、プロジェクト実行後のデットファイナンスなどもスムーズに運べます。大型プロジェクトを成功に導く、意義のある案件だったと思います。

 また、28 年ぶりとなった東レの公募増資は、成長が期待されるリチウムイオン電池材料関連事業や中国での水処理合弁事業などの設備投融資をまかなうために実施されたものです。このような経営者の大きな経営判断を後押しする資金調達を相次いで手掛けることができたのは、お客様と密に会話を重ね、困難な環境下にあっても継続してマーケットに働きかける姿勢など、我々の総合力を評価していただけた結果だと自負しています。

 また世界の市場に目を向けた資金調達も、引き続き活発に行われました。国際石油開発帝石やみずほフィナンシャルグループの公募増資、第一生命や大塚ホールディングスのIPOでも、海外市場での販売が国内向けと同様に重視されています。2010年秋から2011年初頭にかけては、海外市場のみで売り出す案件も手掛けるようになりました。

 リーマン・ブラザーズ統合によって海外市場の情報収集能力や投資家層が広がり、執行力に厚みを増したことで、海外案件に対する期待も高まっていると感じます。国内市場を活用しつつも、経済情勢によっては海外市場にも働きかけられるよう、柔軟さとスピード感を持って臨んでいきたいと考えています。

 今後とも、野村證券が培ってきた総合力と、グローバルの連携体制を活用し、困難な投資環境にあっても常に新しい発想と切り口で、お客様の資金調達を支援していきます。

ベストCBハウス
三菱UFJモルガン・スタンレー証券

好機を逃さない強気な条件設定で資金調達を成功に導く

 2010年9月に発行した日本電産のユーロ円CBは、日本企業の再始動を印象付ける案件になりました。発行規模は1000億円。アップ率40%台、ゼロクーポンのオーバーパーと、日系企業ではリーマン・ショック前のヤマダ電機債(2008年3月)以来の強気の条件設定ながらも、申込額は調達額の10倍、申件数は200件超に上りました。

 米国の景気減速懸念など万全な投資環境ではありませんでしたが、強固なエクイティ・ストーリーと入念な販売戦略が成功をもたらしました。日本電産がCB発行直前の8月に米電機大手エマソン・エレクトリックのモーター事業買収を発表し、市場の注目を集めていた点も奏功。クレジット面のサポートを充実させ、CBファンドの需要喚起を図りました。

 株式市場でも、業界をリードする取り組みを実現しました。2011年2月に手掛けたアステラス製薬の公募・売出(PO)では、金融商品取引法改正後初となる、目論見書作成を不要とした売出しを実施。株価の安定操作ができないため、投資家へのリスク周知や申込期間の短縮など対応を徹底しました。カゴメのPOでは、主婦や株式投資初心者にもわかりやすい目論見書や営業員向け資料の作成などで、多様な投資家層の開拓に貢献しました。

 これはMUFGグループの国内リテール基盤が生きた好例です。今後はモルガン・スタンレーのグローバルチャネルも活用し、発行体の資金需要に貢献していきます。

ベストIPOハウス
野村證券

ノウハウと強固な販売力で多様な資金調達を支援

 明るい兆しが見え始めたIPO市場ですが、回復は緒についたばかりです。IPO件数は2009年が19社、2010年が22社と微増にとどまりましたが、第一生命の上場など例年にない大型案件が誕生。市場全体の引受金額でみると、2009年の570億円から2010年は1兆3000億円と上昇しました。本格的な復調はこれからとはいえ、投資家に対して魅力的な銘柄を提供できた1年だったことは間違いないと思います。

 なかでもNTTを上回る株主約300万人を生み出した第一生命の上場は、マーケットが世間の注目を集める好機となりました。資金調達手段の多様化も含め、少子高齢化時代における生命保険会社の新たな成長戦略を示す案件だったといえるでしょう。世界的に知名度の高い大塚ホールディングスの上場では、販売における海外投資家の割合が6割近くと、国内外にインパクトを与えました。

 私たちの使命は、IPOによってリスクマネーを成長企業に供給することにほかなりません。経済環境の好不調や企業規模にかかわらず、継続してIPOに携ってきたノウハウと、強固な販売力を活かして、今後とも多様なIPOを支援していきます。企業、投資家とともに市場を盛り上げ、日本経済の活性化に貢献できれば、これ以上の喜びはありません。

デットハウスオブザイヤー/ベスト国内債ハウス
ベストインターナショナル・デットハウス(日系外債)

野村證券

良好な起債環境を背景に多様な銘柄で
市場活性化に資する

 
 2010年の債券市場は欧州ソブリンショックの影響はあったものの、全般的に堅調に推移しました。新発債のスプレッドは縮まり、良好な起債環境が続いたといえるでしょう。他方、証券会社同士の競争は厳しさを増し、主幹事としての提案力が問われる1年となりました。

 このような環境の中では、組成から販売まで総合的にコントロールできる、主幹事の力量が求められますが、丁寧なマーケティングを行い、適切に条件を設定することで、セブン&アイ・ホールディングスや東芝などの大型ディールを成功に結びつけることができました。

 さらに、BBB格の低格付け発行体を含めた新しいディールを手掛けることもでき、初回債25件のうち、13の案件で主幹事を務めました。新たな銘柄の参加により、社債市場の広がりに貢献できたのではないかと思います。

 初回債や低格付け社債の発行にあたっては、投資家と発行体、双方に納得いただけるスプレッド水準の提示が案件の成否を分けます。日頃からマーケットと対話を続け、投資家マインドを理解してきたからこそ、社債発行を検討する企業のパートナーとして選んでいただけたと受け止めています。

 外債市場では欧州ソブリン危機の影響がより色濃く起債運営に反映されましたが、9月に条件決定した国際協力銀行(JBIC)の案件では、幅広い投資家の需要を喚起することができ、同発行体による5年ドル建て債としては過去最大となる発行額を実現しました。

 また、投資家が信用リスクに敏感になっていたため、長い年限の債券発行は困難な状況にありましたが、マーケットをにらみながら発行機会をうかがい、2011年1月に地方公共団体金融機構(JFM)の10年債起債を成功に導くことができました。政府保証外債のドル建て10年債としては、2007年5月以来の起債となります。

 年始の起債ラッシュが続く中での長期年限の起債の成功はフェアなプライシングと適切なタイミングの選択に裏付けられたものであり、グローバルベースでの運営能力、各地域での執行力の高さを示すことができたのではないでしょうか。グローバルベースでの連携体制の強化を背景に外債市場への多様なアプローチが、次第に浸透してきたと感じています。

 今後とも社債市場をより大きく、より魅力あるマーケットにするために、活動を続けていきます。

ベストセキュリタイゼーションハウス
野村證券

個別案件に即したストラクチャーを提案

 2010年の証券化市場は、他の資金調達手段の環境改善による相対的優位性の低下や、景気低迷の長期化による資金需要の減退などが逆風となり、案件の組成機会が限定的な情勢が続きました。

 こうした状況下で、我々は住宅金融支援機構の住宅ローン担保証券(RMBS)や生命保険会社の基金債など公募銘柄中心にディールを手掛けてきました。住宅金融支援機構のRMBSは住宅ローンの金利優遇政策などの効果で発行額が拡大し、マーケットをけん引しました。

 2010年夏に発行した住友生命の700億円の基金債案件では、基金債案件で初めて、株式会社化した場合に期限前償還することを定めた株式会社化条項を導入。期限前償還時には市場金利に応じた価格で償還する仕組みを整えるど、投資家ニーズに応える工夫を凝らしました。

 復調の兆しが出ているのが、不動産市場です。小規模ながら、久々にCMBS(商業不動産担保証券)のディールも扱いました。こうした積み重ねが、市場の本格的な回復につながればと期待しています。

 幅広い投資家の動向を的確に読み取り、環境に応じて発行体に最適な提案ができる点が我々のアドバンテージです。この強みを生かし、投資家、発行体双方のニーズにかなう商品を提供していきます。

ベストインターナショナル・円ボンド・ハウス(サムライ債を除く非日系外債)
ベストサムライボンドハウス

みずほ証券

新たな地域・銘柄を掘り起こし市場回復に道筋をつける

 

 2010年初頭のマーケットは欧州財政危機問題が表面化し、一時は機能停止も危ぶまれましたが、我々は様々なディールの組成を通じて市場正常化に努めてきました。夏場にかけての金利低下の流れを受け、投資家から新たな運用メニューを求める声が高まっていたことも、非日系外債市場の回復を後押ししたと思います。

 例えば欧州財政危機顕在後の6月には、ノルウェー輸出金融公社のサムライ債案件をまとめました。欧州ではあるものの南欧からは遠く、先進国ながら産油国という独自の魅力を持つノルウェーの新規ディール成立が、市場再始動のきっかけになったのではないでしょうか。その後もフランステレコムやオランダ政府系銀行、ラボバンクなど、欧州案件も組成の幅を広げ、市場をけん引してきました。

 特に思い入れのあるディールが、フランス自動車大手、ルノーのサムライ債です。ルノーはリーマン・ショック後にBB格に格下げされ、サムライ債市場での起債は途絶えていました。しかしルノーは、そうした期間中も一貫して投資家と真摯に向き合っており、我々もロードショー(投資家向け説明会)のアレンジなどで支援を続けました。こうした努力が結実し、2010年に同市場で復活を果たしました。

 2011年3月の東日本大震災の影響は甚大でしたが、キャピタルマーケットは驚くほどの強靭さを備えており、正常化も早期に実現できるかも知れません。海外クレジットへの需要は今後ますます高まる可能性があるでしょう。新たな地域、新たな銘柄を開拓して選択肢を広げていくことが投資家の声に応えることであり、我々の使命でもあります。多様な発行体が参加した、厚みのある市場の構築を目指してサービスを提供し続け、市場の間口を広げていきます。

M&Aハウスオブザイヤー
野村證券

国内外に広がるネットワークで企業のM&A戦略を後押し

 2010年のM&A市場はクロスボーダー案件が飛躍的に増加した年となりました。米国の大手生命保険、プルデンシャルによるAIGスター生命の買収をはじめ、様々な経営統合を成約に導くことができました。歴史的な円高局面を迎えた為替が遠因となり、日本企業の海外進出が活性化したのも特色です。エネルギーや資源関連をはじめ、電機、IT・ソフトウェアや自動車、機械などの分野では海外進出の動きが顕著になっています。

 国内企業同士のM&Aでは、企業再生支援機構による日本航空への出資や、パナソニック再編に伴う三洋電機・パナソニック電工の完全子会社化等、多くの重要案件をフォローすることができました。

 市場の注目を集めたのが中央三井トラスト・ホールディングスと住友信託銀行の経営統合です。株式交換という統合スキームの構築や関連法令との調整などに相当の時間を要しましたが、信託ビジネスの流れを変える可能性を秘めた、歴史的な統合に貢献でき、我々にとっても意義深い案件となりました。国内企業同士の統合案件は2009年に比べて減少しましたが、こうした大型案件を手掛けられたのは、全国にネットワークを展開し、お客様と対話を積み重ねてきた姿勢を評価いただいた結果と受け止めています。リーマン・ブラザーズとの統合により、海外の情報提供能力はこれまで以上に充実し、クロスボーダーのアドバイスも厚みを増しています。

 少子高齢化が進む日本市場にあって、どのような成長戦略を描くかは、規模の大小を問わず、あらゆる企業に共通する経営課題です。国内のシェア拡大や、海外での成長戦略を実現するために、M&Aという選択肢はこれまで以上に重要度を増しているのではないでしょうか。国内外に強みを持つ証券会社として、丁寧なアドバイスで皆様にお役に立ちたいと考えています。

ベストクロスボーダーM&Aハウス
三菱UFJモルガン・スタンレー証券

確かなアドバイスと資金調達サポートで戦略を成功に導く

 グローバルのM&A市場は、欧米の大型企業同士の合従連衡などが復調し、2007年からとどまっていた流れが堰を切ったように動き始めています。2010年は日本企業の世界進出も活発で、我々もさまざまな重要案件を手掛けることができました。

 印象的だったのが、NTTによる南アフリカのITサービス企業、ディメンション・データの買収です。規模は約3000億円。NTTはこれまでの慎重姿勢から大きく舵を切り、積極的な世界進出戦略を進めています。我々もそれをサポートすべく、クライアントとビジョンを共有しながら、相手方と2年に及ぶ戦略的対話を進めてきました。

 この案件は株式公開買い付け(TOB)で実施しており、ファイナンシングも大きなカギを握りました。ディメンション・データは顧客基盤をグローバルに展開し、ロンドン、ヨハネスブルグの両証券取引所に上場していたため、両取引所のレギュレーションを満たしつつ、速やかに資金調達する必要がありました。そこで、三菱東京UFJ銀行が単独でブリッジ・ファシリティを提供。買収ファイナンスをM&Aアドバイスとセットで提供できた点を、クライアントからも高く評価いただきました。モルガン・スタンレーのグローバルリソースと、MUFGグループのファイナンシング力の結集によってなしえた、統合1年目を象徴する案件といえるでしょう。このほか住友商事によるブラジルの鉄鉱石会社への出資や、楽天によるフランスのEコマース企業の買収など、業種・地域にかかわらず幅広い分野のM&Aをサポートしてきました。

 2011年に入ってからは、日本生命のインド大手生命保険会社への出資などを手掛けています。国内でも、新日本製鉄と住友金属工業の合併など重要な案件が起爆剤となり、グローバル市場における日本企業の競争力強化につながるM&Aに弾みがついてきました。今後も三菱UFJモルガン・スタンレーならではの強みを活かしてお手伝いしていきたいと思います。

ベストシンジケートローンバンク
みずほコーポレート銀行

金融・公的セクターの実績を伸ばし新たな資金調達ニーズを発掘

 2010年のシンジケートローン市場は、前年の23.5兆円から22兆円に後退した。苦戦を強いられた市場にあって、みずほグループは新規・大型案件を数多く手掛け、前年比組成額を9500億円増に引き上げた。公的セクターや金融セクター向けの実績を伸ばし、顧客層の厚さを示した格好だ。

 みずほコーポレート銀行は、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)向けタームローン(約4200億円)をはじめ、第一生命向けに国内最大級となる2200億円の永久劣後ローン、東武鉄道の東京スカイツリー建設資金(約850億円)などの大型案件を相次いで組成したほか、横浜市川井浄水場の撤去・新設案件では、国内で初めてとなる浄水場施設全体のPFI(民間資本を活用した社会資本整備)として総額140億円を組成。シンジケートローン市場で存在感を示した。

 また、みずほコーポレート銀行は、発足以来シンジケートローン市場の育成に積極的に取り組んでおり、ノウハウや実績に対する評価が高い。2009年9月に中国銀行業協会シンジケートローン専業委員会で外銀唯一の「常務委員行」に選出されたほか、2010年4月には同専業委員会の「外資銀行委員会」の委員長に指名を受けた。アジアを中心としたクロスボーダー案件にも積極的に取り組んでおり、9月にはインド企業向けニンジャローン(国内金融機関が参加する海外企業向けシンジケートローン)の成約にこぎつけた。

 グローバルのシンジケートローン市場は復調しつつある。同行は柔軟な条件設定が可能なシンジケートローンの商品性を活かし、多様化する取引先ニーズに応えるとともにシェア拡大を図りたいとしており、海外案件を含めた今後の展開に注目したい。

(文・ユーロマネー日本語版編集部)